デリケートゾーンのニオイは正常?原因と見分け方

「ちゃんと洗っているのに、デリケートゾーンのニオイが気になる」
「生理前やセックスのあとだけ、いつもと違う気がする」
そんな経験はありませんか?
デリケートゾーンは、「まったくニオイがしない状態が正常」と思われがちです。しかし、外陰部には汗腺や皮脂腺があり、腟からはおりものも分泌されています。ある程度のニオイがあること自体は珍しいことではありません。ACOG(米国産婦人科学会)も、ある程度の腟のニオイは正常であるとしています。※1
一方で、「いつもと明らかに違う」「魚のような強いニオイがする」「おりものの色や量まで変わった」といった場合には、細菌性腟症や性感染症などが関係していることもあります。※2 ※3
大切なのは、無臭を目指して必要以上に洗うことではなく、自分にとって普段の状態を知り、変化に気づくことです。
この記事では、正常なニオイと注意したいニオイの違い、月経や性交との関係、ラクトバチルスと腟内環境、毎日のデリケートゾーンケアまで詳しく解説します。
目次
1. デリケートゾーンは無臭が正常?
ある程度のニオイがあるのは自然なこと
デリケートゾーンには、外陰部と腟の両方があります。
外陰部は皮膚であり、汗や皮脂が分泌されます。一方、腟からはおりものが出ています。
おりものは、腟内の古い細胞などを外へ排出し、腟を健やかに保つ役割があります。正常なおりものは透明〜白色で、強く目立つニオイはないことが一般的です。※1
汗をかいたあと、長時間下着やナプキンをつけていたあと、生理中、性交後などに、普段よりニオイを感じること自体は珍しくありません。
「少しニオイがする=不潔」「何かの病気」とは限らないのです。
判断するときは「自分の普段」と比べる
デリケートゾーンの状態には個人差があります。おりものの量や質感も、月経周期によって変化します。ACOGでは、正常なおりものでも月経周期に伴って量や構成が変化するとしています。※1
そのため、「どんなニオイなら全員正常」という基準だけを見るより、自分にとっていつものニオイから急に変化したかを確認することが大切です。
2. デリケートゾーンのニオイが変わる理由
汗や皮脂、蒸れ
外陰部は皮膚なので、ほかの身体の部位と同じように汗や皮脂が出ます。さらに下着やストッキング、生理用品などに覆われる時間が長いため、蒸れやすい場所です。
汗や皮脂、おりものなどが混ざると、時間の経過とともにニオイを感じることがあります。特に暑い日、運動後、長時間座っていた日、通気性の低い衣類を着ていた日などは、普段より気になりやすいでしょう。
生理
生理中は経血が加わるため、普段とはニオイが変わることがあります。さらに、月経前後には女性ホルモンの変化に伴って、おりものの量や状態も変化します。※1
ナプキンや吸水ショーツを長時間交換しないと、経血や汗がこもり、よりニオイを感じやすくなることがあります。
排卵や月経周期
おりものは、月経周期に合わせて変化します。例えば排卵期には、透明で水分が多く、伸びるようなおりものが増えることがあります。NHSでも、排卵時にはおりものがより透明で湿った状態になりやすいとしています。※4
おりものの量が増えれば、下着に付着する量も増えるため、ニオイを意識しやすくなる人もいます。
性交後
性交後、一時的にニオイが違って感じられることもあります。精液は腟内とは異なる性質をもっているため、性交後には腟内環境が一時的に変化する可能性があります。
また、ACOGでは細菌性腟症による魚のようなニオイは、性交後や月経中に強く感じることがあるとしています。※5
性交後に毎回強いニオイが続く場合や、おりものの変化、かゆみなどもある場合は、婦人科へ相談しましょう。
年齢や女性ホルモン
デリケートゾーンの環境は、年齢によっても変わります。性成熟期では、エストロゲンの働きによって腟上皮にグリコーゲンが蓄積され、それを背景にラクトバチルス属が優位になりやすく、乳酸によって酸性の腟内環境が保たれます。※6
一方、更年期から閉経後にかけてエストロゲンが低下すると、グリコーゲンやラクトバチルス属が減少し、腟内環境が変化しやすくなります。※6 ※7
「若いころとニオイの感じ方が変わった」という背景に、年齢による身体の変化が関係している可能性もあるのです。
3. 腟内フローラとラクトバチルスの関係
腟の中にも細菌が存在している
「菌」と聞くと、すべて悪いもののように感じるかもしれません。しかし、健康な腟内にもさまざまな微生物が存在しています。
その集まりを「腟内フローラ(腟内細菌叢)」と呼びます。健康な性成熟期の女性では、ラクトバチルス属が優位な腟内フローラが多くみられます。※6
ラクトバチルスが乳酸をつくる
ラクトバチルス属は乳酸を産生し、腟内を酸性に保つことに関わっています。こうした環境は、腟内を健やかな状態に保つうえで重要です。※6
そのため、RACINEでもラクトバチルスに着目したデリケートゾーンケアを提案しています。日常的なフェムケアとして、ラクトバチルス由来成分を配合したアイテムを取り入れ、腟内環境を意識することも選択肢の一つです。
ただし、デリケートゾーンケア用品は、細菌性腟症や性感染症などを治療する医薬品ではありません。ニオイの変化が強い場合には、ケア用品だけで様子を見ず、原因を確認することが大切です。
4. 注意したいニオイとおりものの変化
魚のような強いニオイ
魚のような強いニオイで代表的なのが、細菌性腟症(BV)です。細菌性腟症では、ラクトバチルスが優位な腟内環境から細菌構成が変化し、腟内pHが4.5を超えることがあります。典型的には、薄いおりものと魚のようなニオイがみられます。※2
特に性交後や月経時にニオイを強く感じる場合があります。※5
細菌性腟症には症状がないケースもありますが、気になる変化があれば婦人科で相談しましょう。
黄色〜緑色のおりものと強いニオイ
黄色や緑色で、普段と違うニオイのあるおりものが出る場合は、トリコモナス症などの性感染症が関係していることがあります。
トリコモナス症では、黄色〜緑色のおりもの、魚のようなニオイ、外陰部のかゆみや赤み、排尿時の違和感などが起こる場合があります。※3
ただし、感染していても症状がほとんどない人もいます。新しいパートナーとの性交後などで気になる症状がある場合は、検査を受けましょう。
白くポロポロしたおりものと強いかゆみ
白くポロポロとしたおりものと強いかゆみがある場合は、外陰腟カンジダ症が考えられます。
カンジダでは、外陰部のかゆみ、痛み、赤み、性交時や排尿時の痛みなどがみられます。※8
一方、カンジダは「強いニオイ」が代表的な症状というわけではありません。つまり、かゆみ・おりもの・ニオイをセットで観察することが、状態を把握するヒントになります。
出血や骨盤痛を伴う場合
ニオイの変化だけでなく、性交後の出血、生理以外の出血、下腹部痛、排尿痛、発熱などを伴う場合は、別の疾患や性感染症などを確認する必要があります。
症状だけで原因を特定することは難しく、CDCも腟症状について、問診だけでは正確な診断が難しいため、診察や検査が重要としています。※9
5. ニオイが気になるときにできるケア
デリケートゾーン専用ソープでやさしく洗う
ニオイが気になると、「いつもよりしっかり洗おう」と思うかもしれません。しかし、デリケートゾーンは摩擦や刺激を受けやすい部分です。
一般的なボディソープで刺激を感じる場合は、弱酸性などデリケートゾーンのpHに配慮して設計された専用ソープを選ぶのがおすすめです。
泡立てたソープで外陰部を指の腹でやさしく洗い、ぬるま湯で丁寧にすすぎましょう。強くこする必要はありません。
蒸れをためない
汗やおりものが長時間こもると、ニオイを感じやすくなることがあります。生理用品を適度に交換する、汗をかいたら下着を替える、通気性のよい下着を選ぶなど、蒸れにくい環境を意識しましょう。
うるおいケアを取り入れる
年齢や女性ホルモンの変化によって、外陰部や腟周辺の乾燥が気になることがあります。特に産後・授乳中や更年期以降は、乾燥やヒリつき、性交時の違和感を感じる人もいます。
洗浄だけで終わらせず、デリケートゾーン用の保湿アイテムを取り入れるのも一つの方法です。
ラクトバチルスに着目したアイテムを選ぶ
腟内環境を考えるうえで、ラクトバチルスは重要な存在です。
毎日のケアとして、ラクトバチルス由来成分を配合したセラムやスプレーなどを取り入れ、デリケートゾーンの環境を意識したケアを行うこともできます。
洗浄・保湿・腟内フローラという複数の視点から、自分に合ったフェムケアを続けていきましょう。
6. セルフケアだけをおすすめしないケース
デリケートゾーンのニオイが気になるすべての人に、セルフケアだけがおすすめできるわけではありません。次のような場合は、婦人科で相談しましょう。
受診を検討したいサイン
・魚のような強いニオイが続く
・おりものが黄色・緑色・灰色になった
・おりものの量が急に増えた
・強いかゆみやヒリヒリ感がある
・外陰部が腫れている
・排尿時に痛みがある
・性交時に痛みがある
・生理以外に出血する
・下腹部痛や発熱がある
・症状を何度も繰り返す
・新しいパートナーとの性交後に症状が出た
・妊娠中に気になる変化がある
・おりものが黄色・緑色・灰色になった
・おりものの量が急に増えた
・強いかゆみやヒリヒリ感がある
・外陰部が腫れている
・排尿時に痛みがある
・性交時に痛みがある
・生理以外に出血する
・下腹部痛や発熱がある
・症状を何度も繰り返す
・新しいパートナーとの性交後に症状が出た
・妊娠中に気になる変化がある
ACOGも、正常なおりものは透明〜白色で強いニオイが目立たず、色・ニオイ・量・質感が普段から変わった場合は異常のサインになりうるとしています。※1
市販薬やデリケートゾーンケア用品だけで「ニオイを消そう」とするのではなく、いつもと違う変化が続く場合は原因を確認することが重要です。

7. 自分の「いつも」を知ることが大切
デリケートゾーンは、無臭でなければ健康ではないわけではありません。
汗や皮脂、おりもの、月経、性交、女性ホルモンなどによって、ニオイは日々変化します。そして腟の中では、ラクトバチルスをはじめとする微生物が腟内フローラを形成し、女性の身体の変化とともにその環境も変わっていきます。※6 ※7
大切なのは、「ニオイを完全になくすこと」ではなく、自分の普段の状態を知り、変化があったときに気づけることです。
毎日のケアでは、デリケートゾーンに適したソープでやさしく洗い、乾燥が気になる場合には保湿を行い、ラクトバチルスに着目したアイテムを取り入れる。そして、強いニオイやおりものの変化、かゆみ、痛みなどがある場合は、セルフケアだけで済ませず婦人科へ相談する。
デリケートゾーンも、顔や身体と同じように日々変化しています。自分の身体を知り、その日の状態に合ったケアを選ぶことが、健やかなデリケートゾーンを保つための第一歩です。
参考文献
※1
American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)「Vulvovaginal Health」
American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)「Vulvovaginal Health」
※2
Centers for Disease Control and Prevention(CDC)「Bacterial Vaginosis - STI Treatment Guidelines」
Centers for Disease Control and Prevention(CDC)「Bacterial Vaginosis - STI Treatment Guidelines」
※3
Centers for Disease Control and Prevention(CDC)「About Trichomoniasis」
Centers for Disease Control and Prevention(CDC)「About Trichomoniasis」
※4
NHS「Vaginal discharge」
NHS「Vaginal discharge」
※5
American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)「Vaginitis」
American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)「Vaginitis」
※6
The impact of the female genital tract microbiome in women health and reproduction: a review. 2021.
The impact of the female genital tract microbiome in women health and reproduction: a review. 2021.
※7
The postmenopausal vaginal microbiome and genitourinary syndrome of menopause. 2024.
The postmenopausal vaginal microbiome and genitourinary syndrome of menopause. 2024.
※8
Centers for Disease Control and Prevention(CDC)「Vulvovaginal Candidiasis」
Centers for Disease Control and Prevention(CDC)「Vulvovaginal Candidiasis」
※9
Centers for Disease Control and Prevention(CDC)「Diseases Characterized by Vulvovaginal Itching, Burning, Irritation, Odor or Discharge」
Centers for Disease Control and Prevention(CDC)「Diseases Characterized by Vulvovaginal Itching, Burning, Irritation, Odor or Discharge」
あわせて読みたい

性交痛は我慢しなくていい。痛みの原因と今日からできるセルフケア
Learn More

性的快楽を学び直す女性たち。ラグジュアリーな大人の新しい教養
Learn More

マンネリカップルに必要なのは“余白”だった。大人の親密さを取り戻す夜時間
Learn More
記事一覧を見る>>